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有明海・八代海について

有明海

有明海は九州の北西部に位置する海域です.総面積は1700平方キロメートルで、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県にまたがる九州最大の湾です.
熊本県の海岸は、荒尾市大島町地先から玉名横島、熊本市沖、宇土半島を経て天草下島の五和町にいたる約307キロメートルの部分です.菊池川・白川・緑川の一級河川が有明海の東側に集中しており、これらの河川から大量の陸水と土砂が供給されています.

くわえて、早崎瀬戸から流入する強い潮流(約7~8ノット、時速約13~15キロメートル)および、約6メートルに達する大潮位差とがあいまって、有明海の東岸沿いから湾奥にかけて物質が移動・堆積する傾向にあります.

こうした海域特性から、ムツゴロウ・ワラスボ・エツ・アリアケシラウオなどにみられる固有の生物相が育まれています.また、これらの干潟に住む生き物たちを餌にする渡り鳥の飛来地としても重要な場所となっているのです.

有明海中央部東側沿岸に位置する荒尾干潟(熊本県荒尾市)は,渡り鳥の有数な飛来地や干潟を利用したノリの養殖やアサリ漁など多様性豊かな干潟として,国際的に重要な湿地であることが認められ,ラムサール条約湿地として登録されました.詳しい内容は,熊本県ホームページをご参照ください.(ラムサール条約湿地「荒尾干潟」/熊本県)

一方、宇土半島よりも北部の荒尾・玉名・熊本沿岸では河川からの供給土砂によって河口デルタが形成されています.そのため遠浅で比較的平坦な砂泥の干潟が発達しています.この干潟は有明海の約3分の1を占めています.

宇土半島から天草にいたる沿岸は、山地が海岸にせまる険しい地形で、岩礁がほとんどを占め、場所によっては砂浜も見られるなど、風光明媚な海岸線が形成され、雲仙・天草国立公園や三角大矢野海辺県立公園などに指定され、観光地となっています.

宇土半島北岸の緑川河口から南西に約8キロメートルに位置している御輿来(おこしき)海岸は、干満差のはげしい有明海に面した海岸で、干潮時には美しい干潟模様ができる場所です.「日本の渚百選」にも選ばれているこの海岸は、4世紀の中頃に景行天皇が九州遠征の際に立ち寄り、その美しさに見とれて御輿(天皇が乗られるカゴ)をとめて休息されたという伝説から、御輿来(おこしき)と呼ぶようになったと伝えられています.詳しい内容は,宇土市役所のホームページをご参照ください.(御輿来(おこしき)海岸/宇土市)

 

八代海 (不知火海)

八代海は熊本県の南西部にある内海です。九州本土と天草諸島に囲まれ、北部は有明海と接し、南部は東シナ海につながっています。背後には広い農地や山林を控えていることが特徴としてあげられます。また別名を不知火海ともいいます.
総面積1200平方キロメートル、平均水深は22メートルと比較的浅く、干潟面積は4085haと有明海につぐ広さであり、閉鎖度指数が32.5という閉鎖性の高い海域です.

この海域では、湾奥部一帯でエビ類、あさり、ガザミ、湾南部にかけてはタチウオ、タイ類、ボラ類、スズキ類などの魚介類が多く漁獲されています。また入江や島の周辺では、タイ類を中心とした養殖業が、干潟域ではノリ養殖業が行われています.

湾の北部から球磨川河口の東海岸側は、遠浅な環境を利用して17世紀頃から干拓が進められ、昭和40年代までに大規模な干拓や埋立が行われました。現在の八代平野の約3分の2は干拓によって広げられたといいます.

また干潟も見られ、宇土半島南岸から東海岸側に続く干拓地前面を経て、球磨川河口部にかけて分布しています。この干潟は、シギ・チドリ類をはじめとする渡り鳥の越冬地・経由地として知られています.
そのため、2006年11月に発足した東アジア・オーストラリア地域の渡り鳥にとって重要な生息地の保全を国際的に進めていく「東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップ」(渡り性水鳥保全連携協力事業、Partnership for the East Asian Australasian)の参加地であり、「日本の重要湿地500」にも選ばれています.詳しい内容は,環境省のホームページをご参照下さい.(生物多様性の観点から重要度の高い湿地/環境省)

なお、沿岸の自治体は熊本県と鹿児島県とにわたっています.

<熊本県>宇城市 氷川町 八代市 芦北町 津奈木町 水俣市 上天草市 天草市
<鹿児島県>出水市 阿久根市 長島町

 

参考文献

柴山知也他編 2013 『図説 日本の海岸』 朝倉書店

 

 

過去のシンポジウム等で発表した資料

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