「八代海再生へのシナリオ」の配布

3-1 「八代海再生へのシナリオ」の配布について、

「八代海再生へのシナリオ」の配布については、”NPO法人みらい有明不知火”で取り扱っております。

”NPO法人みらい有明不知火”ホームページの「八代海再生へのシナリオ」の配布(←クリックで移動)のページ をご確認ください。

3-2 はじめに、


 本稿は、我が国で最も閉鎖度が高く、有明海同様に環境劣化が著しいにもかかわらず、れまで殆ど研究が進んでいない“八代海 ”を対象として、この海域が抱える環境問題」「防災問題」の緊急かつ重要な地域課題に対し、これまでの多大な研究実績に基づき展開した、 文部科学省特別経費(プロジェクト分)「生物多様性のある八代海沿岸域環境の俯瞰型研究プロジェクト(平成23年度~平成27年度)」の研究成果 を中心に“八代海の真の再生” に資することを目標にとりまとめたものであります。単なる研究の成果に留まらず、具体的な再生の技術、再生の対策及びその展開の一連のシナリオを提示しており、 「環境と防災の調和を目指した海域再生の範例」として有効に活用されるものと確信しております。

編著代表 滝川 清

3-3 構成、

●八代海が抱える環境と防災の課題に対して、
  ① 課題の見極め(地域の自然・社会・歴史・文化に関わる個性を知る)
  ② 課題の分析・理解(科学的分析とその視点)
  ③ 課題に対する目標設定(順応的管理の視点から、全体目標・個別目標のシナリオ)
  ④ 対策の提言とその評価(対策の選定根拠と効果の評価)
  ⑤ ケーススタディ(対策の具体的実施と効果の評価:対策の一連のまとめ)
●本稿のとりまとめを通じて明らかになった課題
  ⑥ 調査・研究の質・量の不足
  ⑦ 再生策の実施・検討に当たっての体制の不備


1.緒言では、海域環境の現状と実施対策の状況を述べ、総合的視点からの科学的議論が不十分のままである事、また八代海は“環境と防災”の両者に直面している事など課題の概況を明らかにして、“再生のシナリオ”を取りまとめる本稿の意図を記述した。

2.八代海沿岸域の概要では、社会環境(流域・沿岸域・産業)の特徴、および自然環境(気象・海象・海岸地形・流入河川・水質・底質・生物・災害)の特徴を概説した。

3.八代海沿岸域の現状と変遷では、社会環境、水産資源、水環境、底質環境、海岸線、生息生物の変化をまとめるとともに漂流・漂着ゴミおよび自然災害の現状と変遷を記述、さらに、これらをまとめて、社会環境および水環境の現状把握として詳述した。 以上2および3章では、地域特性の整理と課題の見極めに関しての記述を行った。

4.八代海の再生の考え方では、まず、再生の視点として、環境と防災の調和および順応的視点からの技術体系について述べた。次いで海域区分による環境特性の把握、再生目標、再生策の評価手法(数値シミュレーション、観測データの活用・評価手法など)について詳述し、本稿での再生方策の策定と評価に関わる一連の手法を示した。

5.八代海沿岸域の特性と再生策では、まず海域環境について海域区分毎に特性と課題を整理、環境項目ごとの特性と対策を一覧表に整理した。また流域社会についても社会・経済面からの地域ごとの特性と課題を整理して、地域づくりの方向性についても言及した。また、海域全体としての環境と防災の調和への方向性、さらには海域および流域における再生の方向性を示した。 再生策の策定と実施にあたり、より具体的な事例として示すべく、八代海北部海域と芦北地区を取り上げ、その問題点と課題、課題に基づく再生目標の設定、再生計画等を記述した。

6.八代海沿岸域の再生方策とその評価では、ケーススタディとして取り上げた八代海北部海域と芦北地区について、社会環境および自然環境に対する再生策を提案、実施による結果をふまえての再生策の評価および今後の課題を整理した。

以上、5および6章では、課題の整理・理解に基づき、目標設定、再生方策の提示、ケーススタディによる再生策の評価に関わる一連の展開を詳細に記述した。

7.今後の展開シナリオでは、本稿のとりまとめを通じて明らかとなった施策の総合的な推進の必要性、連携体制の確立、住民意識の醸成などについて記述した。